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ハム将棋は強いのか〜ハム将棋に勝てない方に必勝法を詳しく解説

ハム将棋とは?

ハム将棋は将棋に興味がある方は、結構ご存知の方も多いと思います。 インターネット上で対局できるサイトです。下のサイトです。

ハム将棋:http://www.hozo.biz/shogi/

相手は「ハムスター」ということですが、その実際はコンピューターです。

「どれ、どのくらいのものか、やってやろうじゃないか」という方は絶対に勝てます。 ハム将棋をやったことがない方は、まず対局してみて下さい。

ハム将棋は強いのか?

インターネットでハム将棋について検索してみると、ハム将棋が強いと言っている人、 ハムスター側の駒落ちでもなかなか勝てないという人が多いようです。 このような状況を見ると、ハム将棋は初心者の方々にとっては、かなり強いということのようです。 そのような人たちの発言に合わせて、「ハム将棋?強いよね、序盤・中盤・終盤、隙がないと思うよ」 と調子を合わせるのは簡単です。しかし、それでは「NOと言えない典型的日本人」になってしまいます。

例えば学校のテストでも「あの問題、難しかったよね」と言われたら、内心は「いや簡単だったよ」と思っていても 「そうだね・・・」と合わせてしまうことが多いと思いますし僕もそういう人間です。 和を尊ぶ日本の社会ではそれが無難ですからね。でもそれは程度問題で、 あまりにも簡単すぎた問題、皆ができるはずだと思っている問題について難易度を尋ねられたら、 誰しも「簡単」と答えるのではないでしょうか。

正直に言ってしまうと、ハム将棋は僕にとっては全く手応えがないほど弱いです。 どのくらい弱いかというと・・・このハム将棋で自分の駒を8枚落としても全勝できますし、裸玉でも時々勝てるほどですから・・・

棋界最強のプロ棋士の羽生善治さんが「ハム将棋はめちゃくちゃ弱い、何しろハムスターですから」という発言をして 物議を醸したようですが、羽生さんとは比べ物にならないほど弱い僕でさえ、ハム将棋は手応えがないほど弱いと感じるほどですから、 羽生さんにとってハム将棋がどれほど弱いのかは推して知るべしです。 羽生さんは穏やかで問題発言をするような人ではないのは皆さんもご存知の通りです。 ただこのハム将棋に負けるような人のことが想像できないだけだと思います。 「え?この将棋に負ける人いるの?」とキョトンとした羽生さんの顔が目に浮かぶようです。

そのようなわけでアマチュアの僕でも弱い(激弱)と感じるハム将棋ですが、 この将棋に勝てないと悩んでいる方も多いようですので、その必勝法を伝授しようと思います。 あくまでここで奨める必勝法は、コンピューターのバグを狙うものではなく、本筋に近い指し方です。 下に出てくるような5五角で飛車・香車の両取りがかかってしまうのは、ハム将棋のうっかりというかバグの1つだと思いますが、 優勢になった後の勝ち方も参考にしていただければと思います。

このように指して勝ちの感覚をつかむことが将棋上達の1つの秘訣と言ってもよいと思います。

ハム将棋・平手の必勝法

ハム将棋は角交換・棒銀が好き

まずは平手で対局してみて下さい。

ハム将棋は角交換が大好きです。7六歩、3四歩とお互い角道があくと、自分から角交換してきます。 皆さんは将棋を覚えた初心者の頃、自分から角交換すると一手損になるから、角交換はするな、と教わったと思います。 もちろん厳密に言えば「一手損角換わり」など、飛車先の歩を2つ伸ばさず保留して、2五の地点に桂馬を跳ねる余地を残すことで 作戦の幅が広がるという意味で、手損するメリットが全くないわけではないのですが、 そのような戦型ではないのに相居飛車で角交換をするのは意味がないばかりか、純粋に損だと思います。

こちらも棒銀の速攻をかける

僕は完全居飛車党で相手が何で来ても居飛車で行く流儀ですが、皆さんもハム将棋に対しては居飛車で行くことをおすすめします。 ここでは便宜上、こちらが先手番の場合を想定して必勝法を解説していきますが、 もちろんこれはこちらが後手番であってもほとんど問題なく通用する作戦です。 こちらが後手番の場合は、マス目の座標はそれぞれ10から引いて読み替えて下さい。 例えば、2四→8六、3三→7七といった具合です。

ハム将棋では序盤開始早々、角交換をしてきます。 その後、棒銀で来ることが多いようですが、こちらから先に棒銀で速攻をかけてしまいます。 ハムスター側は銀が6二に上がるので、棒銀にするには7四歩の一手が必要です。 こちらからは飛車先を2六歩、2五歩と2つ突いて、右銀は3八銀→2七銀→2六銀と出ていきます。 これで相手よりも早く攻撃態勢を築けます。 この棒銀の受け方はあるのですが、かわいそうなことにハムスターはそれを知らないようです。 ハムスター側も、飛車先を2つ突いてきますが、これに対しては飛車先の歩を交換されないように7七銀と受けておきます。 速攻が良いと言っても、受けるべきところは最低限受けておきます。

その後、こちらは2六の棒銀を相手の3三の銀と交換することを目指します。 角換わり戦の対棒銀戦では銀の進出路をなくすように端歩を伸ばして受けるのが定跡ですが(ハムスター側の1四歩)、 受けてこないので、こちらからは1五銀と出る一手です。ここでハムスター側は出た銀を「下がれ」と1四歩と突いてきますが、 「時既に遅し」でもちろん銀は下がりません。銀取りに構わずここで2四歩と突きます。 これは棒銀ではよく出てくる攻めのパターンです。ここで相手が1五歩と銀を取れば2三歩成で金または銀を取り返すことが できる上に飛車先も突破できますから、相手は銀を取ることができず、2四同歩と応じることになります。 その後は同銀、同銀、同飛まで一直線です。

余談ですが、 ここでもしこちらが3六歩を突いてあると、1五角の王手飛車を食らって一巻の終わりとなりますが、 もちろんそんなアホな手は食わないですよね。 しかしです。逆にハムスター側に棒銀をやらせると、最後は9五角の王手飛車にはまってしまうことが結構あって面白いです。

2四の地点で自分の攻めの銀と相手の守りの銀が交換できて、なおかつ飛車先の歩も自分の駒台に乗り、 相手に一方的に2三歩と打たせたわけですから、これはもう将棋の理屈から言ってもこちらが優勢です。

2三歩に対してはおとなしく2八飛と引いておきます。

すると、ハムスターちゃんは何を血迷ったのか、7四歩と飛車のコビンを開けてくるではありませんか!
「え?だって、5五角が飛車・香車の両取りだよ?それでもいいの?待ったしてもいいよ?」と申し訳なく 5五角を打つと、飛車取りの方を受ける手を指す時に、ハムスターが涙を流します。

この局面でハムスター側の7四歩は大悪手ということになりますが、ハムスター側が7四歩と突かなかったとしても、 今度は1筋に隙を作って2筋突破を実現する別の攻め方があり、それでも勝勢になります。

その具体的な手順と攻め筋を紹介したいと思います。

上述したようにハムスター側が7四歩と飛車のコビン(斜め前のこと)を開けるか、開けないかで分けて説明します。

@ ハムスター側が飛車のコビンを開ける場合

先程も言いましたが、ハム将棋は、3三の銀がいなくなって、この斜めのラインががら空きなのに、 それを放置して7四歩と飛車のコビンを開けてくるのだから、さすがハムスターちゃんです。 ここで5五角と飛車・香車取りに打って香車を取ります。下にその画像のキャプチャを掲載します。 この5五角でハムスターが泣きます。

香車を取った直後、ハムスター側は3三桂と指してきますが、これは取られそうな桂馬を逃げながら馬の逃げ道をふさぐ手でもあり、本筋の手ではありますが、 こちらからは2二歩と垂らして2一歩成でと金を作り、 2二と金と引いてゆっくり攻めて必勝です。2二と金は相手の3二の金に当たって先手になっていますし、 相手の金が逃げれば2三と金と指して3三の桂馬を取りに行けばよいでしょう。相手にはそれ以上の速い攻めは全くありません。 あとはどのように指しても一方的に勝てます。

動画:(画像上で右クリックしプルダウンから再生・一時停止を選択して下さい)

A ハムスター側が飛車のコビンを開けない場合

この場合は端攻めです。こちらから1五歩を突っかけ、同歩に1三歩と垂らします。 同桂馬であれば1五香と走って調子が良いですが、この1三歩は必ず同香と取ってくるので、1二銀と打ちます(下の画像の局面)。

これで2一の桂取りと次の2三銀成からの飛車先の突破が受けにくく、これも必勝になります。
ここでハムスター側を持って無理に受けようとすると、1二銀以下、3三桂、2三銀成、2七歩、同飛、2六歩、同飛、2五銀、3二成銀、同玉、2八飛 という進行が一例として考えられます。 これで飛車先は一応止まりましたが、2五の銀が無理に打たされた感じでいかにもつらい手ですし、ハムスター側の右の金銀が壁になっていて、 とても戦いきれる形ではありません。これも必勝と言ってよい局面です。

このように指して、まずは勝ちの感触をつかんで下さい。

動画:(画像上で右クリックしプルダウンから再生・一時停止を選択して下さい)

但し、この必勝法はこちらが居玉なのが気持ち悪いという人もいると思います。 相手が弱ければ居玉でも一向に構わないわけですが、これは最短の勝ちを目指した結果ですので、 相手が強くなってくれば自分の玉を囲う方が勝ちやすくなると思います。

ハム将棋を「卒業」したら、将棋の「囲い」の種類と特徴を勉強して、さらなる上達を目指して下さい。

駒落ちで対局

平手で楽勝であれば、次に目指すのは駒落ちです。 ハム将棋にはハムスター側の駒落ちから、こちらの駒落ちまで用意されています。 自分側の駒をどこまで落とせば勝てなくなるか、「我こそは」という方は挑戦してみて下さい。

ハム将棋の駒落ちの順序は独特〜与えられる称号も面白い
ちなみに駒落ちは通常、「片香落ち」、「両香落ち」、「角落ち」、「飛車落ち」、「飛車角落ち」、 「飛車角両香落ち」という順番で落としていき、王様の側近の金銀を落とすのは最後ですが、 ハム将棋では、まずその側近の金銀から落としていき、大駒が最後まで残るのが面白いです。 2枚落ちは金2枚落ち、4枚落ちは金銀4枚落ち、6枚落ちは金銀桂落ち、8枚落ちは金銀桂香落ちです。 9枚落ちはそれに加えて飛車落ちです。10枚落ちは飛車も落として自玉以外は歩だけです。そして最後は自分の歩もいない裸玉です。 それぞれに勝つと称号が与えられ、次の通りです。

平手:「将棋通」
2枚落ち(金2枚落ち):「上級者」
4枚落ち(金銀4枚落ち):「町内名人」
6枚落ち(金銀桂落ち):「師範格」
8枚落ち(金銀桂香落ち):「県代表」
9枚落ち(飛金銀桂香落ち):「プロ」
10枚落ち(飛角金銀桂香落ち):「名人」
裸玉:「神」

8枚落ち(金銀桂香落ち)までは全勝

僕の場合は、8枚落ちまでは負けたことはありませんでしたが、それは当初からそのような有効な作戦を知っているからです。 ハム将棋の駒落ちは自分の飛車があれば、それを大活躍させてもらえます(それを封じる受け方はあるのですが、 ハム将棋は受けがものすごく甘いです)。

8枚落ち必勝法

相手の大駒の働きを封じる

2枚落ち〜8枚落ちの作戦は基本的には同じです。 駒落ち戦では相手の駒を働きを封じるように指すことが大切です。 特に相手の飛車と角は働かせないように気を付けます。 具体的には飛車先を突破されないようにすること、角を交換されないように指すことです。 自陣がスカスカなので、相手の飛車や角に成られたり交換されたりすれば、それだけで大苦戦になります。

自分の角道は絶対にあけない
居飛車で飛車先の歩を交換し、横歩をかすめ取る
その後は飛車を4段目に引いて、相手の飛車先の歩を交換されないように受ける
その飛車先を今度は端角で受ける → 今度は自分の飛車が自由に使える

作戦ですが、居飛車で行きます。 角道を開けると角交換されてしまい、これは開始早々苦戦となります。 絶対に角道はあけないで下さい。 まずとにかく飛車先の歩をどんどん突いていって、飛車先の歩を交換します。 8六歩、同歩、同飛とすると8七歩と打ってくれるので7六飛と横歩をかすめ取ります。 その後、相手の飛車先の歩が交換できないように、飛車を7四に引いて受けます。この飛車はある程度のところで8四に戻っておきます。 この飛車はいずれ攻め駒になるので、相手の飛車先の歩を角で受けるようにします。と言っても角道を開けるわけにはいかないですから、 端側で1四歩〜1三角として2四の地点を受けておきます。相手が1六歩〜1五歩と突いてくる手が気になりますが、 結構他の手を指してくれるので意外に大丈夫です。

相手が3六歩と突いた瞬間、その歩を狙い、8六歩と合わせる

自分の飛車は8四に戻っておくと、どこかのタイミングで相手が3六歩と突いてくれるので、このタイミングでこの歩を狙いに8六歩と合わせます。 同歩の一手に同飛が3六歩に当たります。相手は3七銀と歩を守るので、そこで一旦8四飛と戻っておきます。 相手が8七歩と打つのが手堅い受けですが、実はここで8七歩と指してこないことが多いです。となれば、こちらからは8六歩と垂らす一手です。 そして8七歩成、6六角、8二飛としておいて、8筋を突破すれば、あとはどのように指しても勝てます。

8七歩と受ければ当然3六飛車で横歩をかすめ取り差を縮めます。 8枚落ちの場合には、相手が9筋の歩を突っかけてくるので同歩、同香から9五飛として香取りと飛成が同時に受からず、 こうなれば既に形勢は逆転したと言ってもよいと思います。

しかし、この戦法が使えるのは自分の飛車がある場合だけですので、8枚落ちまでです。 僕が8枚落ちまで負けたことがないというのは初めからこの戦法を使っていたからです。

8枚落ち実践例の動画:(画像上で右クリックしプルダウンから再生・一時停止を選択して下さい)

9枚落ちは結構難しい
ところが9枚落ちになると、飛車も落とされてしまうため、玉以外の自分の駒は角と歩だけになります。 角を活躍させるのは結構難しく、また相手の飛車と角のさばきをとりあえず封じるための手段も結構難しくなり、 一つ間違うと受けがなくなります。 作戦の極意は相手の飛車と角のさばきを抑えつつ自玉を中段に繰り出し、危険を承知で相手の歩を取りに行くことです。 そうしているうちに駒台に歩が乗り始めます。狙いは端で、香車を釣り上げて歩を垂らしてと金を作ります。 このと金と歩で相手の駒を少しずつ取り、チャンスを広げていきます。 相手が厳しい手、有効な手を指し続けてくれば、勝ち目はないのですが、 決してそうではなく無駄な手、緩手、悪手を指してくれたり、勝手に転んだりしてくれるので、 大抵勝つことができます。

10枚落ちはかなりの難関〜勝利は可能〜勝利すれば「名人」の称号
10枚落ちは玉以外の自分の駒は9枚の歩のみです。相手の飛車と角の裁きを抑えつつ、相手の角の成り込みの隙を与えずに 玉を中段に繰り出して歩を集めます。あとは9枚落ちの時と同じような考え方ですが、角がいなくなる分攻撃力も守備力も 格段に落ちます。10枚落ちになると負けが込み始めましたが、4度目の挑戦でやっと勝てました。 与えられた称号は「名人」でした。僕も将棋指しになれるのかな、とふと自分の実力に天狗になりそうな瞬間です。 自分が10枚落ちで勝利した証拠画像として取っておこうと、最終局面と10枚落ちに勝利して「名人」の 称号が与えられた画面をキャプチャしてしまいました。下の画像がそれです。 かなり苦戦して相手が詰めろを放置してくれたおかげで辛くも勝利できたのが最終局面から分かると思います。

裸玉は究極の難関〜玉を攻め駒にして相手の歩を取りに行く〜頓死に気を付けて華麗な玉さばき
「裸玉」というのは文字通り「裸の王様」です。最初に対局を始めた瞬間、これで一体どうやって勝てって言うの?!と ため息をついてしまいました。自分の駒は王様しかないのだから、序盤はこちらは王様を動かすだけです。 相手は角道をあけてきますが、角成りを防ぐ手はないのだから、王様を右辺に動かし戦場から遠ざけます。 相手の飛車、角ともにこちらの陣地の左側を睨んでいるため、こちらには近づかない方が賢明です。 裸玉というわけでとにかく相手の駒を取らないと勝てないわけですが、まず取りに行くのは相手の歩です。 玉を右側中段に繰り出しますが、相手は馬で「王手は追う手」の格言を知らないかのように、王手をかけてきます。 無意味な王手を続ける代わりに飛車先の歩をじっくり伸ばしてと金を造って飛車を成り込めば楽勝なのに、 ハムスターちゃん、バカだなあ、と思いながらも、馬の「追う手」に正確な逃げ場所に逃げ続けます。 逃げ間違うと追い詰められて頓死する可能性があるので、深い読みや玉さばき、受けのテクニックがかなり要求されます。 そうしているうちに相手が小さいミスを連発してくれて、歩だけでなく桂馬や香車をかすめ取ることも可能となります。 あとは相手の隙に乗じて形勢の差を縮めます。

裸玉に勝利
裸玉は3度目の挑戦で勝つことができました。与えられた称号は「神」でした。 3度目の挑戦ですので、また何回か挑戦すれば勝てるのでしょうが、 次に勝てるのはいつのことになるのか分からず、今回がまぐれ勝ちの可能性もありますので、 貴重な証拠として、画像キャプチャだけでなく、初手からの再生の動画も大切に保存してしまいました。 次に勝てるのはいつのことになるのか分かりませんので、こういう記録、証拠は大事に保存するに限ります。

裸玉勝利の動画:(画像上で右クリックしプルダウンから再生・一時停止を選択して下さい)

将棋が強い皆さんは、自分の駒を落として行ってどこまで勝てますか? まだやったことがない方は是非、やってみてください。

この「ハム将棋」はあくまで初心者・初級者・中級者用ですから、僕たちの場合には、もうあまり 楽しめないものかもしれないですね。最強の将棋ソフトに平手で挑戦する方が(そして玉砕しますが)やる気が湧きますよね。

更新履歴:
初稿:2017年1月8日
ハム将棋必勝法追記:2017年5月28日

 

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